第11章 ラブ!
ターミナル駅の待ち合わせ広場。
平日の午前中だけど、夏休みだからか結構人は多い。
大きいバッグを持った高校生くらいの女の子グループがいる。
旅行に行くのかなぁ。来たのかなぁ。
…USJ行きたかったなぁ。
iPhoneを出して時刻を見る。
11時ちょうど。
「ごめん!遅くなっちゃって」
逢坂くんが駆け寄ってくる。
「大丈夫だよ。ほらちょうど」
私はiPhoneの画面を見せてにっこり笑う。
「よかった」
彼もにっこり微笑む。
「あれ…その紙袋」
彼が持ってる小さな紙袋に目がとまる。
彼がちょっと得意気に袋を掲げる。
「クロワッサンドーナツ。ゆめちゃんが食べてみたいって言ってたから。後で食べよう」
「うれしい!あれ?でも逢坂くんにその話したっけ?」
「したよ?」
「そっかな」
私達は話しながら歩き出した。
「あれ?なんだか背が高くない?」
彼が私を見て不思議そうな顔をする。
「うん、お姉ちゃんのサンダル借りてきたんだ。ヒール5cm。ちょっと大人っぽくない?」
ストライプのサーキュラースカートにテロンとした素材のブラウスをイン。
お姉ちゃんに借りたヒールのサンダル。
持ち手がチェーンのエナメルっぽいバッグ。
女子大生っぽくしてみたんだ。
彼が私の全身を眺めて答える。
「うん。可愛いよ」
「え〜キレイ系なんだけど〜」
「うん。綺麗」
「なんか適当じゃない?」
私はいつも以上にはしゃいでしまう。
緊張を隠すために。