第9章 写真
「いい…よ?」
彼が私の目をじっと見つめて答える。
私は優しく微笑む。
「どこを…どんなふうにさわると気持ちいいの?教えて?」
「あ…ここを…こんなふうに…」
「かたいの?」
「うん…すごく…」
彼の息遣いが荒い。
吐息を近くに感じる。
私は録画の停止ボタンを押し、iPhoneを床に置いた。
彼の顔をじっと上目遣いで見つめる。
…
「バーカ」
私はそう言い捨てiPhoneをつかみ、制服のポケットにしまって立ち上がった。
「え…」
彼が呆然とした顔で私を見上げる。
「帰る」
カバンを持ち上げ、帰ろうとした私に彼が後ろから抱きつく。
そして、グッと私の腰を引き寄せる。
私のお尻に硬いものが押し付けられる。
彼の…。
「そんな…僕の…こんなに…。帰らないで」
彼の声が、息が、私の耳にかかる。
「ゆめちゃん…お願い」
…
私はちょっとクスッと笑い、彼の手を優しく払い、彼に向き合う。
そして私は思い切り彼に平手打ちをした。
「え…痛…」
彼が頬を押さえ、驚いた顔をする。
「その声で…わたしの名前を呼ばないでっ…!
許さないから…
わたしっ…許さないから!」
そしてカバンと…写真をつかみ、部屋を飛び出した。