第7章 桃色
「ごめんね。2人分のお弁当って初めて作ったから、思ったより時間かかっちゃった」
彼の家の玄関で靴を脱ぎなから言い訳する。
「一生懸命作ってくれたんだね。嬉しい」
彼が優しい言葉をかけてくれる。
逢坂くんのこういうトコ大好き。
「早く食べたいなぁ。ゆめちゃんが作ったお弁当」
「もうお昼近いし先に食べちゃおっか」
彼の部屋でお弁当と勉強道具が入ったトートバッグを降ろす。
「そうだなぁ…」
彼が考えるフリをしながら私のことをイタズラっぽい目で見つめる。
「先に…」
そう言って彼が私の手を握り、グイグイ引っ張ってベッドの方へ連れていく。
「え?なに?」
私は彼の意外と強い力にびっくりする。
「先にこっち…食べたい」
ベッドの前で腰を引き寄せられ唇を塞がれる。
すぐに熱く柔らかい彼の舌が、私の口の中を撫でまわす。
身体の力が抜けてくる。
すごく気持ちいい。
唇がそっと離される。
それに合わせて私はそっと目を開ける。
キスの途中で、すごく近くで見れる彼の目が好きなの。
「勉強教えてくれるって言ったのにぃ…」
照れ隠しに思ってもないことを言ってみる。
「後で…ね?ゆっくり教えてあげる」
彼はそう言ってまた唇を塞ぐ。