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恋人設定(仮)

第5章 好きなの


「ありがとう」

彼はにっこりと微笑んだ。

「逢坂くんの小説…」

「ん?」

「私がモデルだって言ってた?」

「うん…。少し恥ずかしいけれど、出来上がったら君にも読んでもらいたいな」

「うん…」

私は何故だか急に寂しい気持ちになった。

ううん、自分ではずっとわかってる。

心の中でずっと感じているけど、口に出したくないこの気持ち。

私は唇をそっと噛んでその気持ちを隠す。

「どうしたの?」

私の気持ちを感じたのか彼が優しく声をかける。

「別に」

私は彼の言葉から目をそらす。

「本当に?何だか元気がないように見えるけど…」

「平気」

「ここに座ろうか」

彼がベッドの上に座るように促す。

隠したい気持ちが溢れでて彼にもバレてしまう。

自分が情けない。

私の目から涙がこぼれた。

「え…」

彼が驚いた顔で私の瞳を覗きこむ。

「ど…どうしたの、ゆめちゃん。どこか痛いの?えと…えと…」

「ちがう」

私がやっとの思いでそう答えると、彼はそっと隣に座った。

「わたし…」

「うん」

「逢坂くんのこと…」

「うん」

「好きなの」

「うん」

恥ずかしさで消えそうになりながら私は彼の瞳を見上げる。

彼の長い睫毛が近くに見える。

彼は少し微笑んだ。

「僕もゆめちゃんのことが好きだよ」

とても素敵な声で私の欲しい言葉をくれる彼。

でも…
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