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恋人設定(仮)

第5章 好きなの


「うわぁやっぱり本がいっぱい!」

「ふふ…なるべく買わないようにしてるんだけど。つい貯まってしまうんだ」

放課後、招かれた逢坂くんの部屋。

シンプルなインテリアでスッキリとして見えるけど、机の上には教科書や参考書が雑然と積まれ、ベッドの上には広げたままの雑誌。

適当に投げ捨てられたままのようなスポーツバッグ。

並べられたまま埃をかぶっているスターウォーズのフィギュア。
これは去年の夏のコーラのオマケだな。

意外なくらい男の子らしい部屋。

本棚だけはきちんと整頓されているみたいだけど。

綺麗な装丁の本や難しそうなタイトルの本が秩序によって整列しているようだ。

「あまり本棚を見つめられると恥ずかしいな。何だか心の中を覗かれてるみたいだ」

彼がそっと声をかける。

「ごめん。なんか難しそうな本ばかりだから…。私でもわかるような本あるかなと思って」

私はあわてて言い訳する。

「ゆめちゃんも本好きだよね。図書室でよく読んでる」

「私が読んでるのは子供向けのファンタジー小説だから…」

私は恥ずかしくなって顔を伏せる。

「ハリーポッター僕も好きだよ。映画も何回も観た」

彼が優しい言葉をかけてくれる。

「僕はマンガも好きだよ。ほら、こっちに隠してあるんだ」

そう言って彼がベッドの下の布をめくるとイマドキの少年マンガが並べられていた。

「わぁ、進撃の巨人だ。これ面白い?」

「うーん、女の子にはちょっとお勧め出来ないかもだけど面白いよ。よかったら貸そうか?」

「ありがとう。読んでみたかったんだぁ」

逢坂くんがコミックスの1巻と2巻を渡してくれたので、私はそれをカバンにしまった。

「普段はどんなマンガ読んでいるの?」

彼にそう聞かれて改めて考える。

「やっぱ少女マンガかな。姉もいるし」

「恋愛もの?」

「うん。もちろん恋愛ものもあるよ。いっぱい」

「お願いがあるんだけど。僕にも貸してくれないかな?マンガ」

「え。少女マンガを?恋愛ものの?逢坂くんが読むの?」

私が驚いてそう言うと、彼は少しはにかんだ。

「うん。小説の参考にしたいんだ。出来れば…君のような普通の女子高生が憧れるような等身大のラブストーリーがあれば」

「うん!いいのがあるよ。明日持ってくるね」

逢坂くんの役に立てるならうれしい!

でも…
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