第4章 VS 世界選抜チーム
選抜メンバー5人を絵心のもとまで案内し、その後はもう好きに休んでいいと言われていたため、は自由時間となった。
昼寝でもしたいところだが、にはブルーロック以外でも個人でやるべき仕事が山ほどあった。
医学会のドクター達に提出するレポートだったり、継国家当主としての仕事だったりとなにかと忙しい。
しかしにとっての最優先はブルーロックのドクターであることなので、過ごす部屋もすぐに駆けつけられるところにある。
選手達も気軽に行けるようなところにあるので、の容姿と年頃であることもあってかトラブルになることを危惧されているが、なのでそんなことにはならない。
それでも遠慮なく部屋に入る人間はいる。乙夜とか。
そんな乙夜は現在、無事に二次選考を突破して烏達と共に語学勉強をしていた。
「もう無理」
「乙夜おまえ英語はいけるんやからすぐ終わるやろ」
「サガる。せめてちゃんから教わりたい」
「さんに迷惑かけちゃダメだよ」
「てか一回ちゃんの部屋行ったんだよね」
「「は??」」
「こわ」
烏や雪宮が思っているようなことはしていない。
それどころか、会話にすらならなかった。
がちょうど取り込み中だったからだ。
一応ノックして部屋に入ったが、そこにいたは前髪を上げておでこを出し、丸メガネをかけるという完全集中モードだった。
しかも(なぜか畳が敷かれた和室の上に)正座で書類と睨めっこをしていたので、これマジなやつだと乙夜は即座に判断した。
出直そうと踵を返す前に、が口を開いて尖ったキノコでも食べたのかと思うような刺々しい声で言い放った。
『要件を文書にしてその辺に置いておくように』
「___って」
「ほんまに迷惑かけんなや」
「ちゃんと反省して紙に書いて出直した」
「反省するとこ違うやろ」
数時間後、文書の返事は烏達の部屋のポストに入っていた。
万葉集とかで見たことあるような筆記体で書かれていたので乙夜以外の人間は読めなかった。