第3章 白衣の看守人
仮に好感度だとしたら、好意の種類が識別されている場合もあることを二子は知っている。
「さん、せめて数字の色を教えてください」
「……ブルー、オレンジ、ピンク」
「複数…!?」
「ちょっ……タイム!」
2人はに背中を向けて、ひそひそと作戦会議をした。
「コレマジで見えてんの!?」
「……ここまで来たなら恥を捨てましょう潔くん」
「どこにも行ってねーよ」
「この食堂に来る人達のも見てもらって、こっそり教えてもらいましょう。恥ずかしさが半減する」
「二子お前さあ…お前もエゴイストだったな」
「おそらくブルーが信頼、オレンジが友情、ピンクは……アレです」
「やっぱピンクはアレか……」
色々御託を並べたが、男子高校生2人は本人にピンクなアレを見られたのが一番恥ずかしかったらしい。
であれば他の奴のピンクも見てやる、とのことだ。
見るのはだが。
「さん、僕達以外の好感度も見てみてください。そしてできれば教えてください」
「どうしたいきなり」
「凪くんが来ました」
「さっそく知りたいやつが来た」
食堂を通り過ぎる凪の頭上を渋々見たは、ぎょっとしたような目を見せた。
あくまで目なので二子と勘の鋭い潔にしか感知できなかったが。
「ごめん、今日一日私引きこもってる」
「ギブアップはやい」
「凪と俺達の何が違かったんすか」
「プライバシーに関することはちょっと」
「さっきまで僕達のプライバシーに関わってましたけど」
まあ、と関わって間もない時期だったのが不幸中の幸いか、と2人は一旦引くことにした。
しかし2人は知らない。
投薬実験はこれからも続くことを。
あくまで1人で請け負うものなので、止められないことを。
そしてこれからブルーロックで鎬を削っていくうちに、エゴさも極まってへの感情がデカくなり、数字なんかでは表しきれなくなることを。