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【青監夢】跡継ぎを産めと言われて収監されました

第3章 白衣の看守人


「凪は戻ってくる……凪は戻ってこない……凪は戻ってくる……凪は戻ってこない……」
「………」


メンヘラっている御影玲王が花占いならぬ歯ブラシ占いをしている現場に遭遇してしまった。
見なかったことにして踵を返したが、タイミング悪く千切豹馬と國神錬介とばっちり目が合ってしまった。


「待ってさん、あの状態の玲王を置いて行こうとしないでください」
「アレはチームメイトのあなた達が適任だ」
「仮にも元教え子兼後輩をアレ呼ばわりしないであげて」
「一介の家庭教師が踏み込める領域じゃない。そもそも御影玲王がああなるような無二の友人がいることすら知らなかった」


が御影家から家庭教師の依頼を受けたのは、玲王が中学2〜3年生の頃。
依頼内容は指定のカリキュラムを済ませることであって、モチベーションを上げることではないし、そもそも優秀な成績の玲王にその必要はなかった。
つまり、は玲王に指導以上の何かをしなかったのだ。

さらに言うなら、実はは白宝高校出身である。
選んだ理由としては、指導を受けたい校医が白宝高校にいたことと、国際コースの留学制度が豊富だったこと。
3年生に進級して間もなく、新入生に御影コーポレーションの御曹司がいるという噂ももちろん耳に入っていた。
しかし家庭教師の授業カリキュラムは終了しているし、留学もポンポン行っていたので学校にすら行ってないことが多かったので、と玲王は高校で交流することはなかった。

とどのつまり、は御影玲王という個人に興味がなかったのだ。
だが今は別の意味で目を引かれている。


「なんとかできないっすかね」
「歯ブラシは追加発注しとく」
「できれば玲王の方を」
「勝ち進むしかないだろ」
「正論……」


そうこうしているうちに、玲王の持つ歯ブラシの毛が全滅した。


「戻ってきても今までの俺と思うなよ……!!」
「頑張れ玲王…!」
「もう寝ようぜ」
「國神錬介、千切豹馬。あとは私はなんとかしとくから部屋戻れ」
「助かります」
「あざっす。おやすみなさい」
「おやすみ」


その後、は律儀に玲王の歯ブラシ占いが終わるまでじっと待っていた。
気配を消していたので終わった玲王には死ぬほどビビられた。
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