第7章 【幽遊白書】その蕾はいつか花となる【修羅】

仁美が叫んだ理由は、急に修羅が仁美の胸を掴んで来たからだ。

しかも何だか生々しい感触だった。

「！違う仁美！水着が！！」
仁美の戸惑っている顔に、修羅は顔を真っ赤にして叫んだ。

それでやっと仁美は自分の水着が取れてしまっていた事に気が付いた。

「っごめんなさい修羅様！！お見苦しいモノを…！！」

仁美もまた現状を把握すると顔を真っ赤にした。


……咄嗟に仁美の胸を掴んで隠したが、触れれば触れるほど、その感触に神経が向かった。

（…見苦しい訳無い…。）

少し見てしまった仁美の胸はとても綺麗だった。
隠すつもりで触れている手だって、気を抜けば指が動いてしまいそうだ。

「仁美…。」

恥ずかしさに耐えかねたのか、仁美の目からジワッと涙が出た。

顔を赤らめて涙目の仁美に、修羅の気持ちはさらに高揚する。

「大丈夫。ボク以外見て無いから…。」
「……修羅様…。」

修羅にしか見せたくないが、修羅に1番見られたく無かった姿だった。
複雑な気持ちで仁美は目をギュッと瞑った。


……パサッ……。

修羅の手の上から仁美の体にレッグウォーマーが被された。

見覚えのあるその服に、修羅は物凄い嫌な顔で顔を上げた。

浜辺で倒れている2人を見下ろす様に、蔵馬が笑顔で立っていた。

いや、その笑顔もまた貼り付けた様な笑みだった。

「……水難事故、多いって言いましたよね。」

「……はい……。」

明らかに怒っている蔵馬の声に、仁美は顔を青くして小さく返事した。

その後2人は蔵馬の監視の元。
みんなと楽しく正しく海で遊んだ。



その日泊まったのは近くの、玄海師範が作った保養所だった。

「修羅様！！温泉がありますよ！！一緒に入りましょう！！」

「…懲りないですね。あなた達。」

仁美が嬉しそうに修羅を連れて行くのを見て、蔵馬は目を細めて見送った。