第5章 【R指定】【呪術廻戦】七海建人の恋人事情【七海建人】
そして自分が七海と付き合う事になれたと自覚が出来たのは、七海の行動だった。
彼はその日から時間があれば仁美に会いに来てくれた。
その度に、七海は仁美を『恋人』として扱ってくれた。
キスは比較的すぐにしてくれた。
精一杯背伸びして、七海の大きな手に抱き締められる様なキスが好きだった。
優しく髪を撫でる七海の手に、自分が七海にとって、大切に扱って貰えるとすぐに分かった。
泣き落としで付き合って貰えたと思っていたが、そんな事は無かったとすぐに七海は教えてくれた。
仁美は信じられない気持ちだが、七海はちゃんと彼女を好きだった。
その気持ちはすぐに仁美にちゃんと伝わる。
初めて七海と過ごす夜はいつもより長く抱き合ってとても幸せだった。
残念な事に、行為が初めての仁美にとって、七海のモノを受け入れるには慣れていなくて、その日は最後まで出来なかった。
そんな日でも七海は仁美を抱き締めて、キスを繰り返し共に夜を過ごしてくれた。
2人で抱き合いながら夜を過ごす。
それだけで幸せだと思っていた。
だけどあの日。
初めて七海の全てを受け入れられた時。
自分の中いっぱいに七海を感じられて。
仁美を見下ろす七海は見た事が無いほど情欲に満たされて艶っぽく。
そんな七海にキツく抱き締められて、キスを繰り返されると、痛みよりも幸福感で涙が流れた。
「……建人さん…っ。」
手を伸ばして七海に触れる仁美を、七海は愛おしそうに目を瞑った。
まるでこの時の為に生まれた様な。
そんな気持ちにさせる初めての夜だった。
そうして七海の恋人で居る事が日常と思えてきた頃に、2人でお酒を飲んでみた。
七海は何故か仁美がお酒に弱いと思っていた様だったが。
仁美は新潟の大きな酒蔵の娘だった。
「幼い頃から、酒蔵の匂いで酔っていた様なモノです。」
そう言って、仁美は実家で作っている日本酒一升瓶を七海への手土産に持って来た。
半信半疑で仁美と飲んでみると、仁美の顔はすぐに赤く染まった。
そして少しふにゃっとして、明らかにお酒が回っているのが分かる。