第1章 【R指定】【呪術廻戦】貴方の全てを壊したい【七海建人】
『七海が凄い好き。私と付き合って。』
青天の霹靂の様な仁美の告白に、七海は一瞬我を忘れて思考回路が停止する。
すぐに意識を戻して、その仁美の告白を受けた。
その時に、本当に嬉しそうに笑った仁美を今でも覚えている。
そして、それ以降の仁美の自分への愛情を疑った事は無い。
仁美は惜しみなくその感情を七海に向けていた。
だけど、彼女が夏油に対して向けている好意は、本当に自分とは違うのか。
仁美を疑っている訳では無いのに、そんな疑念が七海を悩ませた時だった。
その事件は目の前で起きた。
「夏油センパーイ。これバレンタインですぅ。」
自分の目の前で、仁美が顔を赤く染めながら夏油にチョコレートを渡す。
明らかに少し豪華なチョコレートを。
それは本命では無いか?
いや、分かっている。
仁美は何の後ろめたさも無いから、自分の目の前で夏油に渡しているのだろう。
しかし、隣に居る五条がまた不機嫌そうな顔をしていてその光景を見ている。
五条はおこぼれのチョコレートすら貰えないからだ。
「……ありがとう……。」
そう言って夏油は困った様に七海をチラッと見た。
それがまるで可哀想に思われている様な、そんな哀れみの目だったのが1番七海の胸を痛めた。
夏油にチョコレートを渡した後に、ススッと仁美は七海の側にきた。
「七海には後で特別なのあげるね。」
そう七海の耳元で小悪魔の様に囁く仁美に、七海はもう限界だった。
今にも爆発しそうな気持ちを、先輩達が見ている。
そんな対面を保つ為に必死に堪えたのだ。