第1章 【R指定】【呪術廻戦】貴方の全てを壊したい【七海建人】
「七海の好きな所ですか?
そりゃあ、五条先輩と違って軽薄じゃ無いし、しっかりしている所です。」
仁美と七海を弄ろうとして、2年生の輪の中に入って来た五条悟の顔がイラっとしているのが分かる。
まぁ幼稚な冷やかしにいちいち反応するのも面倒だった七海も、仁美のファインプレーに心の中で親指を立てる。
「七海と居て楽しいの?」
それでも負けない五条に、今度は七海の顔がイラッとする。
「…五条先輩は何を待って七海がつまらないと言っているんですか?
自分が楽しいとでも思っているんですか?
言っておきますけど、五条先輩の楽しいって周りの迷惑ですからね?」
五条の言葉にも臆する事なく、スンとした顔で堂々と言い返す仁美に、七海の固唾も下がった。
仁美の言葉に、五条は更に不機嫌そうな顔をする。
「悟…めちゃくちゃウザい先輩になってる…。」
その様子を側から見ていた夏油がまた、諫めるように五条に言った。
夏油が入ってくると、途端に仁美の顔が明るくなる。
さっきまで死んだ魚の様に五条を見ていたのに、急に光を持って夏油を見上げる。
その仁美の表情に、七海は少し目を顰めた。
仁美は五条には愛想の笑顔すら見せないのに、夏油には違った。
彼女はいつも夏油には笑顔で、それこそその表情からは夏油への愛情が溢れ出ている様だ。
何故?
しかし思い返すと、仁美は常に夏油にはその笑顔を惜しみなく出して夏油を見ている。
それこそ高専に入学して、今までその仁美の行動は変わらない。
だから仁美から好きだと言われた時はその耳を疑った。
ずっと仁美は夏油を好きだと思っていたからだ。
自分は片思いだとそう信じていた。