第3章 【R指定】【ヒロアカ】白から黒、そして白【荼毘・燈矢】
この手の仕事を長く続けていると、そんな汚れたお金を綺麗なお金に変えてくれる奴らとも繋がりがある。
私自身、グレーかクロかで言ったら、真っ黒な人間だ。
私が捕まらないでいるのは、この国のお偉いさん達の汚い仕事も処理しているからだ。
それ位の恩恵は受けている。
「………………。」
私は点滴を少年から外すと、病室にしているその部屋を出た。
もうここに居ても治療を受けれないと分かったなら、あの少年は勝手に出ていくだろう。
そう思ったからだ。
次の日の朝、病室に顔を出すと、ベットは空になっていた。
案の定勝手に出て行った少年に、私は何とも思わなかった。
厄介な人間が居なくなって、安堵した。
それが正直な気持ちだった。
もう2度とあの少年とは会わないだろう。
きっと彼は、長い命では無いとそう思っていたからだ。
だから、2ヶ月後に彼が私の前に再び現れた時には驚愕した。
体中傷だらけで、移植した皮膚が少し変色していた。
「……診てほしい……。」
そう言って差し出されたのは、両手にいっぱい掴まれた札束だった。
一目で綺麗なお金では無いと分かった。
「……君は運がいい……。」
今は病院からオファーも無いから、飛び込みの客が来なければ暇だった。
そのお金があれば、死んだとしても後処理には困らないだろう。
私はまず、少年のヒーリングからした。
一度私のヒーリングを受けている少年は、身を預ける様にゆっくり目を瞑った。
「カルテ作ってあげるから、名前教えて。」
いつまでもカルテに少年Aでは不便だった。
「…………荼毘………。」
荼毘の名前を初めて知ったのはその時だった。
まだ真っ白だった荼毘。
それから荼毘はお金を持って来ては、お金分の治療を受けに来る様になった。
数ヶ月見ない時もあれば、すぐに現れる時もある。
荼毘の行動は予測出来なかった。
勿論、荼毘が普段何をしているのか、何処からお金を調達しているのか。
そんな事を気にする気持ちは無かった。