第2章 【R指定】【ヒロアカ】butterfly【綠谷出久】
「っ…ぅっ…は…ぁ……。」
『明日もここに会いに来て。』
湧き上がる情欲は止まらなくて、綠谷は最後に笑みを浮かべてそう言った仁美を思い出す。
(こんなにおかしくなるなんて、きっとあの蝶のせいだ…。)
初めて異性に感じた感情を処理出来ずに、綠谷はそう思いながら自身を慰める。
そうでなければ、自分がこんな愚行をするなんて考えられないからだ。
「あぁ……仁美さんっ……。」
クシャッとページを掴んで、綠谷はそのまま達した。
その窓の外に、夜の暗闇に紛れて、黄色いアゲハ蝶が舞っていた。
「……仁美さんの体は甘いの?」
いつもの様に温室に来て、綠谷は仁美に聞いた。
アレから毎日来ては、仁美に纏っている蝶を見る毎日だ。
綠谷は会話少なく、いつも蝶に体液を与えている仁美を見ている。
「……知らない……舐めてみる?」
そう言って仁美は蝶が乗ったまま、腕を綠谷に差し出した。
「やらないよ!!そんな事!!」
咄嗟に顔が赤くなって、綠谷は思い切り顔を背けた。
「……ふー…ん。」
仁美は目を細めて、綠谷から自分の腕を引き戻す。
顔を真っ赤にして、胸を抑えている綠谷を見て、小さく口角が上がった。
「じゃあ綠谷。明日も来てね。」
そういつもの様に微笑んで、綠谷はやっと胸から手を下ろした。
温室を出ようとした綠谷の目の端に、緑色のアゲハ蝶が見えた。
自分の髪と同じ色の蝶に、綠谷は目線を追ってその蝶が外に出るのを見守った。
「……あの緑色の蝶は何?」
なんだかあの蝶を見ていると、心臓が痛くなって、綠谷は仁美に聞いた。
「………内緒……。」
そう言って、目を伏せながら微笑んだ仁美を見て、綠谷は何故かとても不安になった。