第2章 【R指定】【ヒロアカ】butterfly【綠谷出久】
今はとてもじゃないけど、指が全く動かなかった。
仁美の髪の毛に蝶が溜まれば綺麗なアゲハ蝶がまるで髪飾りみたいに、仁美の肌に留まれば仁美を飾るアクセサリーの様に見えて、仁美をより綺麗に綠谷の目に映るのだった。
ジッと自分を見るだけの綠谷に、仁美は笑って言った。
「じゃあ、今度は綠谷の番だね…。」
仁美と綠谷はある約束をしていた。
仁美の個性を綠谷に教える代わりに、仁美からも綠谷から提案があった。
「明日もここに来てね。綠谷。」
仁美が能力の開示の引き換えに望んだのは、毎日綠谷が会いに来ることだった。
「……………。」
綠谷は仁美の提案を断らなかった。
断れなかったのだ。
「はぁ……。」
綠谷は寮に戻ると、机の上にノートを広げた。
ページを開いても、1文字も仁美の個性について書けていない。
頭の中に仁美の個性はまとまっているのに、文字を書こうとすると手が止まってしまう。
女の子を綺麗だと思ったのは初めてだった。
綠谷はペンを取ると、ノートに線を書き出した。
その線は文字では無くて、今日見た仁美の姿をなぞっていく。
頭に溜まったアゲハ蝶や、仁美の体に溜まっていくアゲハ蝶。
そして、そのアゲハ蝶の奥に仁美の顔を描く。
昔からよくオールマイトの似顔絵を書いていたので、中々綺麗に仁美を描けたと思う。
完成した仁美の絵を見て、綠谷の手が止まった。
「……仁美さん……。」
綠谷は熱い息を吐くと、自分の下半身に手を伸ばした。
固くなっている自分のモノを握って刺激を与えていく。
こんな事、同級生でした事が無かった。
(おかしい…辞めなきゃいけないのに、全然手が止まらない。)
罪悪感が頭の中にいっぱいなのに、綠谷は自分の手を止める事が出来なかった。