第2章 【R指定】【ヒロアカ】butterfly【綠谷出久】
「私の個性【butterfly】は、色んなアゲハ蝶を創作出来るの。」
雄英の一角にある温室で、綠谷出久に自身が創作した蝶達を見せながら、仁美は言った。
「…どうやってアゲハ蝶を作るの?」
綠谷出久はゴクッと喉を鳴らしながら、手にはペンとノートをしっかりと持っている。
その綠谷の姿を見て、仁美はニコッと笑った。
温室には様々な普通の蝶が舞っていて、仁美が腕を伸ばすと蝶達が一斉にその腕に止まった。
ただのモンシロチョウが仁美の腕に留まると、花の蜜を吸う様に口吻を腕に刺した。
途端にモンシロチョウは赤いアゲハ蝶に変わっていく。
「私の体液を飲むと、蝶はアゲハ蝶に変わっていくの。」
思う存分仁美の体液を吸った赤いアゲハ蝶は仁美の腕から飛び立ってヒラヒラと綠谷の頭上を舞っていく。
その様子を綠谷は呆然と口を開けて見ていた。
「気を付けて綠谷、赤いアゲハ蝶の鱗粉は飲み込むと数量で致死量だから。」
仁美の言葉に、綠谷はバッと自分の口を手で覆った。
その綠谷の様子に、また仁美は目尻を下げて微笑んだ。
その仁美の顔が綺麗で、綠谷は顔を赤くしながら見惚れていた。
「黄色いアゲハ蝶は、私と視覚が共有出来る…偵察とかに使ったり、青いアゲハ蝶は体を麻痺させる鱗粉を撒くから、拘束する時に使ったり……。」
仁美は色とりどりのアゲハ蝶を指差しながら、綠谷に一羽づつ説明していく。
いつもなら、個性の説明をすると、もの凄い独り言を言いながらメモを取るのに、今日の綠谷はそうしないので、仁美は不思議に思って、綠谷を見た。
仁美の目線に気が付いて、綠谷はハッとした様に怪訝な顔の仁美から顔を逸らした。
綠谷が仁美が綺麗で見惚れていたのだ。
そう気付かれるのを避ける為に、綠谷は仁美から顔を逸らした。
「…書かなくていいの?私の個性。」
「………後でまとめて書くよ……。」