【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第11章 【コミュ企画】 【WB】優しい先輩ってやつ【梶蓮】
ゴロンと寝返りを打って、酔っ払い女は部屋を出ようとする梅宮さんに声をかけた。
「卒業後どうするの?行くとこないならウチに来る?」
もう本当にどういう関係だよ!?
酔っ払い女の言葉を聞いて、俺は唖然とするしか出来ない。
え?あの梅宮さんがあの女以外に他の女が居るの?!
そう考えた時に沸き起こった感情は。
梅宮さんへの怒りだった。
俺の動揺なんかよそに、梅宮さんは表情は何も変わらなかった。
「…行くとこ無くて転がり込む家なら、決まってるから。」
梅宮さんは少し柔らかい笑みを浮かべてそう言った。
その梅宮さんの顔は、最近よく見る。
あの女を思い浮かべた時の梅宮さんの顔だった。
「…………………。」
寝たのか、聞いていないフリなのか、酔っ払い女はそれ以上何も言わなかった。
梅宮さんはそのまま部屋を出て、俺の前に立った。
「…着いてきてくれてありがとう。帰ろうか。」
そう笑って俺に言う梅宮さんの顔に、少しのやましさも無かった。
「…………………。」
訳がわからないまま、俺は梅宮さんと駅の方に向かい歩いていた。
道中、俺も梅宮さんも何も喋る事は無かった。
だけど、俺のモヤモヤは膨らむばかりだ。
そんな俺の気持ちを感じ取ったのだろう。
梅宮さんはゆっくりた話し出した。
「……水月はさぁ…、俺が居る施設で一緒に育った人なんだよ。」
あっさりと、酔っ払い女と梅宮さんとの素性が分かった。
一瞬分かった事実に安堵したが、すぐに疑問も芽生えた。
一緒に育っただけで、施設を出た後の住所なんて知っているのか?
いや、ポトフの女だった場合、確実に梅宮さんは住所を探るだろう。
梅宮さんの中でこれは普通なのか?
分からない……。
裏表なんか無さそうに、学校や商店街ではありのままの梅宮さんだと思っていた。
だけど、こんな有名人だけど、彼の恋愛事情なんて、あの女しか知らない。
「……同じ施設って、そこまで仲がいいんですか?」
「…………………。」
そこで引き下がればいいのに、俺は梅宮さんに聞いてしまった。
ああ。
ヘッドフォン付けて、口の中に飴を突っ込みたい。