【R指定】リクエスト・コミュ企画短編集【原作色々】
第11章 【コミュ企画】 【WB】優しい先輩ってやつ【梶蓮】
そんな俺に梅宮さんは目を細くして笑いながら言った。
「……………。」
俺は黙って席を詰めた梅宮さんの横に座った。
「○○町のコンビニまで。」
「………………。」
梅宮さんは酔っ払い女の住所を簡単に伝えた。
それがどんな意味なのか、聞くことも嫌だった。
タクシーはすぐに走り出すと、もう爆睡した酔っ払い女は、梅宮さんの肩に持たれたまま寝息を立てていた。
「……梶ってさぁ…仁美さんの事になるとお節介だよねぇ。」
沈黙の中、梅宮さんは俺の顔を見ないで静かに言った。
「……あの女の為じゃあ……。」
そう言った時に、俺は自分のモヤモヤの原因が分かった。
そうだ。
何となくこの2人だけにしたく無かったのは、あの女の顔が浮かんだからだ。
だって明らかに、この2人おかしいだろ。
「………………。」
俺が考えていると、梅宮さんはいつの間にか俺を見ていた。
……どんな答えを期待されたんだ?
俺が答えに困っていると、タクシーは目的地に着いた。
梅宮さんが支払いをして、梅宮さんはタクシーの中の酔っ払い女を抱き上げた。
「梶、水月の鞄持って。」
そう言って、梅宮さんは当たり前の様に、その女のマンションまで迷わず行った。
……いや……。
俺は何を見せられているのだろう…。
知りたく無いよね。自分の先輩のプライベートなんて。
しかもこれは、俺が知っていい内容なのだろうか。
「水月、鍵どこ?」
「…………………。」
その女の部屋の前まで来ても、酔っ払いは起きる気配が無い。
「はぁ……。梶さぁ、鞄の中に鍵入って無い?」
俺は梅宮さんに言われて、その女の鞄の中から鍵を見つけた。
ドアを開けて欲しそうな梅宮さんの顔に、躊躇しながらも、俺は初めて会った女の家のドアを勝手に開けた。
流石に部屋の中に入る事は出来なかったのに。
梅宮さんは何の躊躇も無く、その女の部屋に入って来た。
「水月、鍵は開けて帰るよ。」
「……んー……。」
……帰るのか……。
梅宮さんのその言葉を聞いて俺はホッとした。
やはり、俺の頭の中に浮かんだのは、あの女の顔だった。
「……一さぁ…。」