第4章 お嬢様の仰せのままに
また同じ思考回路に足を取られて、躓いて、沈んでいく。
紅茶の箱を持ったまま思考停止し、頭の中が淀んでいく。
「……はは……は……は……」
自身の中からブワッと煙のように黒い感情が滲み出て、口から渇いた笑いが漏れた。
不穏な考えを振り払うように、頭を振る。
悟はいつ帰ってくるだろうか。
「そうだよ、まずは紅茶のお礼を言わなきゃ。それで、ごめんなさいって……」
ただいま、って言いながら彼は私の体を欲するだろう。
任務から帰ったあとは、戦闘で高ぶった神経を鎮めるように激しく抱いてくる。
声が出なくなるくらい鳴かされて、窒息しそうなくらいキスを交わして、これでもかと欲望をぶつけられて体を白く汚されるだろう。
彼に触られると、条件反射のように劣情を抱いて体が疼くようになった。
そんな自分への蔑みと、彼への愛情と嫌悪で搖れる心と、様々な感情で押し潰されそうになる。
――気がつけば、私は助けを求めるように泣きながら硝子に電話をかけていた。
そして、胸中に複雑な心情を抱えて誕生日当日を迎えることになる。
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