第1章 ご主人様の言うとおり
業者が服を回収して洗濯乾燥までやってくれるから、それまでお風呂タイムらしい。
「ここ、広い窓から外の景色が一望できるお風呂があるんだよね。しかもジャグジー付き」
「すごい、私そういうの初めてかも」
「今日は『ハラハラドキドキ!二人で繋がってるのが見えちゃう!?露出プレイを疑似体験!』っていう、僕の激推し企画がありまーす」
「あー、うん、そーなんだー」
ジャグジーという単語にテンションが上がったのも数秒の間だった。そびえ立つ変態の壁にぶち当たって気分が萎える。
私は別に露出プレイしなくて良いし、普通にベッドで抱かれたい。
そんな変態でも、前線に立って戦う姿は戦慄を覚えるほどかっこいいし、生徒思いなところは尊敬している。
容赦なく呪霊を蹂躙する姿は最強の名を冠するのに相応しいと思う。
七海さんみたいに社会の荒波に揉まれた常識的な大人ではないけど、力を正しく使えるように日々誰よりも努力していて、いつも自分より下の世代のことを案じていて、上層部や敵対する人たちの何手先も考えを巡らせていて、その結果、何かに傷ついてもおくびにも出さないのを私は知っている。
だから、少しくらいはこういうところでガス抜きをしたらいい。
悟と付き合うことになった時、高専の家入さんには『五条は、心を許せるってロックオンした相手に対しては要求に天井がないよ。嫌なことは嫌って言いな』と脅されたけど、変態的だろうが、出来る限り彼の要求には応えてあげたいのが本音だ。
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