第1章 ご主人様の言うとおり
「子供の時から誕生日なんて毎年どうでも良い日だったけど、ゆめかと一緒なら来年も楽しみだよ」
少し闇が深そうな悟の一言に、細かいことは聞かないようにした。
ラブホにありがちなガラス張りの浴室のドアを開け、一糸まとわぬ姿になって共に入る。
灯りが点いているので暗くはないものの、一番奥の壁全面にロールスクリーンが下げられた状態になっていて、今までの経験を踏まえれば、ただただ嫌な予感しかなかった。
悟がボディーソープを出して泡立て、私の体を洗おうと手を伸ばしてきたのを見て、思わず制止する。
「じ、自分でやるから大丈夫だよ」
「いいから、いいから、遠慮しない。ゆめかはそのままでいて」
私の抵抗を軽くスルーし、悟が背後に立つ。
もうどうにでもなれと大人しくしていると、首から肩甲骨のあたりまでをゆっくりと撫でるように彼の手が上下する。
温かい大きな手が体を撫で回す感触は、性的な意味を持っていなくても気持ちが良い。そのまま腕やお腹も撫でられて、くすぐったくて笑ってしまう。
「ゆめか、動かない」
「ひあっ、あ……悟……?」
胸をやわやわと揉まれて変な声が出てしまった。
「ん?なぁに?僕はフツーに洗ってるだけだよ」
そうは言うけれど、胸の頂に触れないところが逆にイヤらしい。乳輪の周りをクルクルとなぞるように、人差し指が滑る。
洗うならちゃんと洗ってほしいなと思いつつ、下肢に伸びた彼の手をドキドキしながら眺めていた。
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