第3章 猛毒の情火(五条視点)
もう片方の手を伸ばして彼女のお尻を直接撫で回すと、「ひぁっ」と可愛い悲鳴が上がった。
「ん……っ、五条さん……あ、ぁっ……い、イタズラしないで下さい」
「おはよ。昨夜も酔って僕に抱きついて、大好きって言ってくれてたけど覚えてる?」
ニヤニヤしながら意地悪を言うと、両手で顔を覆った彼女の耳まで赤く染まっていく。
ジタバタしながら変な呻き声が漏れてるけど、それがまた可愛い。
ゆめかは、酔うと人に抱きつく癖がある。
抱きつかれたのは事実だが、大好きなんて一度も言われていない。
彼女の興味を惹くために、何回嘘をついたか覚えていない。
何気なく時計を見ると、まだ朝の6時半。
穏やかな気持ちで彼女の髪を指で梳いていると、温もりがスルリと器用に僕の腕から抜け出た。
「私8時から任務なので、もう行きますね。五条さんも忙しいんじゃないですか?」
僕に問いながら、素早く着替え始めたスーパードライなゆめかに少しがっかりした。
ベッドの上で頬杖をついて、彼女を眺めながらちょっかいを出してみる。
「ねぇ、ゆめか。今日分の任務がぜーんぶ無事に終わったら、僕にご褒美ちょうだい。今日もデートしよ、デート」
「は……?最強の五条さんが無事で済まない任務ってあります?」
「わっかんないよー。特級呪霊に異空間に閉じ込められちゃったりして、五条さんピーンチ☆になるかもよ?」
「そんな特級いたら日本が終わっちゃいます」
五条さんが全力で止めて下さい、と呆れた表情でゆめかが言うので、善処することを誓うと、満足そうに頷かれた。
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