第2章 中毒ロマンス(五条視点)
そして、1分もかからずにゆめかを捕獲すると、その華奢な体を抱きしめて髪に頬ずりする。
カタカタと震えている彼女を安心させるために背中をさすると、消え入りそうな声で謝罪される。
「あ、あの時は大変失礼しました……」
「ホントだよー、僕ヤリ捨てされたかと思った」
僕の返答に「誰が誰を?」をという顔をされたので、あっけにとられている半開きの口に、自分の唇を押し付けた。
小さく苦しげな声を出して暴れるゆめかをホールドして腔内を舌で荒らすと、胸板を強く叩かれる。
離れると、ぷはっ、と息を吸うゆめかに思い切り睨み付けられた。
「急になんなんですか、五条さん」
彼女に五条悟だと認知されて、歓喜する自分がいた。その口で早く下の名前で呼んでほしい。
「何ってさ、酔ってるとはいえゆめかが僕を口説いてきたんだよ。悟が好き、大好き、ずっと私の傍にいてって言ってキスしてくれたのに」
嘘八百だったが、ゆめかには効いたらしい。顔が見る見る間に真っ赤に染まっていく。
あの夜の記憶がはっきり残っていないようで、逆に好都合。
簡単な嘘で心理的に揺さぶりを掛けられそうな相手で良かった。記憶と違うと言われたら、行為に夢中だったからと惚(とぼ)ければいい。
最終的に僕とゆめかが付き合うことになったことを話し、あの夜のベッド上での熱い熱い出来事を詳細に語ると、彼女の顔色が赤から青に変わっていく。
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