第2章 中毒ロマンス(五条視点)
微睡みながらも引っ付いてくる彼女をホテルのベッドに寝かせ、水を買いに行くついでに避妊具を手に入れて部屋に戻る。
そこで、ハタと気付く。
「僕の方がサカってる……?」
合意の上だし、お互い成人。何も問題ないはずだ。
いつも相手側に誘われることが多かった。チェックインしてすぐ行為に及ぶこともザラだったので、相手が無防備に横たわっている、この状況の次の一手に迷う。
いつも通り、一夜限りの関係のはず。
何を戸惑っているのか、自分でも分からない。
童貞でもあるまいしと悩みつつ、彼女が眠るベッドの端にドカッと腰を下ろす。その振動で目が覚めたのか、
「ん……お、にいさ……」
ぼんやりと焦点が合わない目をしながら、彼女が僕に手を伸ばしてくる。
応じて手を握ってやると、その手のやわらかい質感と彼女の体温を嫌でも感じてしまう。
確かめるように、さわさわと角度をかえて何回も握り返されると、愛撫されているような妙な気分になってくる。
「あったかくて、だいすき」
そう言って、色付いた頬で笑む彼女の表情だけで、次の一手は簡単に決まった。
行儀も作法も不要。スーツとワイシャツを脱ぎ捨てて、彼女に覆い被さる。
「え……あ、ひぁ、っ……」
首にキスしながら耳朶を甘噛みすると、狼狽えながらピクリと体を震わせて、悶えている。
反る喉元に舌を這わせながら名前を問うと、熱っぽい吐息とともに、夢野ゆめかだとフルネームを教えてくれた。
ゆめかの顔を覗き込みながら服に手を掛ける。その潤んだ瞳に拒絶は感じない。
すっかり力が抜けた彼女の服を取り去り、下着類さえ邪魔だと思いながら、一枚取り去るごとに柔肌に口付ける。
震えている胸の突起を口に含むと、小さく息を飲む気配がした。
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