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【呪術廻戦】その変態は最強である【R18】

第2章 中毒ロマンス(五条視点)


バーテンダーよりも、スイーツ作りの方が板に付いてるんじゃないかと思わずにはいられない。

眠気でウトウトし始めている酔っ払いにコートを着せてから横抱きにした。

彼女のバッグと、貰った紙袋を腕に引っ掛けて外に出る。近くの駅のロータリーまで行けばタクシーも拾えるだろう。

見上げると、木枯らしが街路樹の葉を揺らしていた。いつの間に、夜はこんなに冷えるようになったのか。

無限で風は防げるが、スーツ一丁ではさすがに少し寒気を感じる。

ロータリーに接しているバス停の椅子に、一度彼女を下ろして辺りを見渡す。こんな時に限ってタクシーが一台も待機していない。

彼女を自分に寄りかからせて腕時計を見ると、まだ21時を回ったところだ。

「んー……あれ?マスターは?」

微睡みながら彼女の双眸と唇がゆっくりと開く。

タクシーに乗せてあげるからね、と。僕が言い聞かせながら視線を合わせると、

「……もう、いっしょにいてくれないの」

と、男の下心を煽る言葉が耳に届く。

彼女は男と別れたばかりで人恋しいだけだ。

僕個人を求めているわけではないのだろう。傷心の女をベッドで食うほど相手に困ってはいない。

一期一会だなと思いながら、まだ夢うつつの彼女のしなやかな髪を撫でると、子供が親に撫でられた時のような、はにかんだ笑みを見せる。

「手……気持ちいいね」

夜風で乱れた髪を耳にかけてやると、グリグリと頭を擦りつけてくる。少し冷たい彼女の手に指を絡めると、遠慮がちに握り返してくるのがいじらしい。

「お兄さん、いい匂いがするから好き。なんかお菓子のニオイがする」

そう言って、キャッキャッと屈託なく笑う彼女は計算などしていないのだろう。



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