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【呪術廻戦】その変態は最強である【R18】

第2章 中毒ロマンス(五条視点)


不覚を取ったな。頭をガシガシと掻きながら何気なくベッドサイドを見ると、


――ごめんなさい。ありがとう。


謝罪と感謝の言葉が走り書きされたメモと、一晩分の宿泊費が律儀に添えてあった。

くたびれた四つ折りのお札。何となく生活感が滲んでいて、「くくっ」と意味もなく笑いが込み上げる。

「なんつーか、僕の方がヤリ捨てされた感じ?」

やわらかな筆跡の文字を指先でなぞる。

メモ書きからも彼女の香りがしそうだ。

重症だと思いながら、その文字に口唇で触れた。昨夜の彼女の痴態を思い出して、口の中がむず痒くなる。

「……ゆめかとキスしたい」

ぽっかり空いた穴に、パズルの最後のピースがはまったような感覚。理屈なしで、心身ともに突き動かされる衝動。

癒される匂いがするその肌に、いつまでも触れていたくなる。己の内側の、白くてやわらかい場所を引っかかれるような疼き。

運命の出会いとはこういうものなのだろうか。すぐにでも会いたいと、心が切望する。

今こそ、五条家の金と権力の使いどころ。

信頼できる業者へ電話でゆめかの徹底的な身辺調査を依頼し、前金をネットの口座から振り込む。

「どんな戦も情報と根回しが肝心、ってね」

これでも血生臭い呪術界を生きてきた身だ。

情報量の多さ、一歩先を見据えた動きが物を言うのは、嫌というほど味わってきた。

まずは朝一で補助監督の伊地知の個人携帯に電話し、僕のこの先一週間の任務のスケジュールと、ゆめかに割り当てられている任務と時間帯を聞き出した。

今までゆめかと接点がないため、

「五条さん、何か企んでいませんよね?」

と、さすがに訝しげな反応をされたが、

「貴重品拾ったから、直接本人に返したくってさ。ほら、僕って常識人だから、拾った身分証明書を誰かに預けるのもどうかなーって思ったワケ」

と、あくまで軽い口調で伝えると、やる気のなさそうな伊地知の返事と共に、問題なく会話が終了した。



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