第6章 ご主人様のお気に召すまま【後編】
束の間の休憩を終え、裸のままタオルケットで包まれた。
バスローブ姿の悟に抱きかかえられ、貸し切り状態のホテルの最上階へ移動する。
近くの部屋に入ると、大きな窓から見える夜景がとても綺麗で、思わず見惚れてしまった。
眼下に広がる建物たちと、無数に灯るオレンジや黄色、青の明かりがキラキラとしていて、光の粉を撒いたようだった。
まるで宝石を詰め込んだ箱の底。
車のライトが川のように延々と続いている様も、幻想的に見える。
「すごい……綺麗……」
窓際まで行って外を眺めていると、悟に後ろからタオルごと抱きしめられた。
「気に入った?」
耳元に掛かる吐息がくすぐったくて身を捩ると、更に腕の力が強くなる。
ゆっくり景色を堪能したいのに、こっちを向けと言わんばかりに後ろから名前を連呼された。
「ゆめかー?ゆめか?ゆめか……聞いてんの?」
「うん、聞いてる聞いてる」
私が生返事を繰り返していると、悟が拗ねた。
あっという間にタオルを剥ぎ取られて、有無を言わさず向かい合わせにされる。
「そんなにゆめかが夜景に夢中だと妬ける」
「数分くらい外を見てたっていいでしょ。せっかく悟が用意した部屋なんだから」
「だーめ、誰の誕生日だと思ってんの」
壁と彼に挟まれて逃げ場がない。
抵抗する言葉を紡ぐ前に、彼に唇を奪われた。
じゃれて甘噛みされて、ふにゅっと唇を押し付けて軽いキスで返す。
食むように触れ合って、離れて名残惜しくなって、また触れた彼の体温に安心する。
隙間からぬるっと侵入する湿った熱に素直に応えて、何度も角度を変えて口付けを交わす。
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