第5章 ご主人様のお気に召すまま【前編】
顔を上げた悟がこちらを覗き込むように視線を合わせてくると、どちらともなく口付けを交わす。
軽く食むように唇同士で戯れて、もっと欲しいとねだるように彼の薄い口唇を舐めて吸って誘う。
焦らすように口を少ししか開けないでキスを繰り返すと、悟に手荒に口内をこじ開けられて深く進入されてしまう。
「……っは、ぁ、さと……っん」
熱い舌先が上あごを擦ると、気持ち良いけどくすぐったくて、喉から胸のあたりが甘く痺れてくる。
探られて、絡みつかれて、舌先を軽く吸われると、下腹が疼いてたまらない。
ちゅ、くちゅっ、と水音が跳ねる。
開放された手で彼のワイシャツを握りしめつつ、鼻にかかる甘ったるい声が勝手に漏れてしまう。
「ん……ンッ」
「……っ、は、ゆめか……」
息も荒く、悟に名前を呼ばれて再度唇を塞がれる。
彼の攻めが激しくて、私が顔を背けて息を吸おうとすると、悟が甘えるように濡れた口唇に吸い付いてくる。
苦しいからもうダメ、と拒否して横を向くと、
「ゆめか……」
悟が切ない声音で耳朶を甘噛みしてくる。
擦り付けられる白い頭に触れてから、彼のほんのり上気した頬に触れる。
まだキスし足りないと言いたそうな顔をした悟の襟を掴んで引き寄せ、彼の唇にチュッと軽く吸い付いた。
「悟、誕生日おめでとう」
顔が至近距離にあるのが照れくさくて、少し視線を外すようにしながらそう言うと、彼は青い目を細めて嬉しそうな表情を浮かべた。
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