第5章 ご主人様のお気に召すまま【前編】
いつの間にかサングラスを外して準備万端、白い生クリームが詰まった袋をベッドサイドテーブルに置いて、私を見下ろしている悟は臨戦態勢。
ジャケットを剥ぎ取られ、ブラウスのボタンも器用に外され、体を捩ってうつ伏せで逃げようとすると、鮮やかな手付きで、下着ごとスカートを下半身から抜かれた。
「うー、この鬼畜、変態、色情魔っ」
私の口から文句が溢れても、悟は涼しい顔でブラのホックを慣れた手つきで外していた。
これで丸裸にされてしまった。
本職は呪術師じゃなくて、手品師か何かじゃないかと疑う。
邪魔だとばかりに、ベッド下に落とされてしまう服たち。
悟の肩を押してもびくともしない。
「急に襲わないって、前に約束したでしょ?」
悪あがきに彼の頬を指で摘んで、飛び掛かるワンコの如き相手を諌める。
それも効果が全く無くて、造作もなく腕を押さえつけられてしまった。
「この僕の顔を抓るとか……良い度胸してるね。この世を探しても、ゆめかしかそんなこと出来る人いないよ?」
悟が無限を解いたままなのは信頼の証。
私の非力な手で抓ってもほぼ痛みなんか無いだろう。
怒っている気配は微塵もなく、どこか嬉しそうな調子の悟が私の首元に顔を埋めた。
ぬるり、と温かい舌が這う。
「ん……っ、さとる……」
肌が彼に愛される度に、首の後ろがざわざわとして落ち着かない。
幾度となく快感に慣らされた体は、彼の愛撫一つで簡単にスイッチが入る。
→