第5章 ご主人様のお気に召すまま【前編】
「ゆめか……ありがとう」
その笑顔は反則と思うくらい可愛かったから、思わずもう一度キスをしたくなったけれど、それは我慢しておいた。
ちゅっ、と私の額に悟の口付けが降る。
彼がスーツやワイシャツを脱ぎ捨てる様子を眺め、露わになる引き締まった腹筋を目にするだけで、鼓動が少し早くなる。
「じゃあ……改めて、生クリームプレイをしようか」
――やっぱりこの男は変態だった。
ペロっと自身の下唇を舐め、ベッドサイドテーブルから生クリームの絞り袋を手にした悟は悪魔に見えた。
私が後退りしてシーツが寄ってシワになるが、そんなこと気にしている余裕は無かった。
「いや……あのね、無理に私をケーキにしなくてもいいんだよ?」
「誕生日に愛しい恋人と甘いクリームを一緒に味わえるなんて一石二鳥じゃない?本当に僕って天才だよね」
もうダメだこいつ、と私が呆れた顔をしているにも関わらず、悟は何食わぬ顔で私の胸に生クリームを乗せていく。
先程まで冷蔵庫に入ってたからか、ひやりとしてピクッと体が揺れてしまった。
「んっ」
私の体温で早くも緩くなり始めたクリームを、悟は指先で掬って口に含むと、そのまま舌先を伸ばして私の硬くなり始めた乳首をチロリと舐めた。
クリームの甘ったるい香りと、いつもと違う感覚に、身体が小さく震える。
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