第4章 お嬢様の仰せのままに
「こんなに醜いくらいに執着して、もういっそ壊れても構わないなって思いながら犯している僕と添い遂げようとするなんて……」
――本当に変態なのはオマエだろ。
彼の愉快そうな皮肉にも、奥が媚びるように陰茎に絡みついてしまう。
いやいやと私が唇を噛んだまま首を振ると、それすら彼の情欲を煽るようで、目を爛々とさせて肌に吸い付いてくる。
チリッと、痛みと紅い証が肌に咲く。
「さと、る……っ、もぉ、や……あッ」
もうイキたくない。そう訴えると、
「だめだよ、常に僕のことしか考えられない位まで達してもらうよ」
今日、堕ちてもらうって決めた。
そう宣言しながら妖しく笑う彼が知らない人に見えた。
こんな顔で笑う男性(ひと)だっただろうか。
それとも、私が気づかなかっただけだろうか。
「あ……」
過去に一度、別れ話をした時と同じだと思い出す。
あの時も彼は同じ顔で笑って私を追い込んだ。
逃げ場はないと骨の髄まで教え込まれた淫らな一夜。
しばらく悟の声を聞くだけで下半身が反応してしまい、自分から抱いて欲しいと懇願しながら股を開き、下の口で貪欲に咥え込んで欲に溺れたあの期間。
私の体はそれを覚えている。
下腹がヒクリと彼の笑みに反応する。
「あ……あ、ぁ……」
「どうしたの、ゆめか」
彼が含み笑いを洩らして律動を止める。
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