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【呪術廻戦】私と坊やと、晴れのち○○

第1章 私と坊やと、雨のち雨。






私は顔をあげて、ため息を吐いた。
その行動すら癪に障ったようで、五条家への敷居はもう二度と踏ませないとか契約は無効だとか言っている。
まじで、やったね。
そうしたら私は晴れて自由の身。
どこにだって行ける。
誰にも縛られることなく、自分の好きなことができる。

そう思っていたんだけど。

「勝手に決めんな」

次期当主の一言で空気が変わった。
じっと私を見つめる坊やはゆっくりと私に近づいてくる。

顔が恐ろしいほどよろしいな、この子。
天は二物を与えないんじゃなかったの、神さまの嘘つき。
正座している私の高さと同じくらいの背丈の坊やは、私をじっと見ている。
猫か。

「お前壁役なの?」
「そうですよ~。悟坊やのためならこの命捧げます~」
「……本当に?」

怪訝な顔をする悟坊や。
私は軽く笑みを見せた。

「嘘だって言ったら、どうします?殺します?」

すごい挑発的な態度。
別に悟坊やのために死ぬとか心底どうでもよかった。
人間死ぬときは死ぬんだ。
それ以上も以下もない。
だったら、流れゆくままに身をゆだねるしかない。

どうせ、私にどうこうする力はない。
この家に売られた瞬間から。

私の親は金目当てで私をこの家に売りつけた。
反転術式の術式を持ち、自分だけでなく他人の治療もできる私は、お護りとしてはうってつけの人材。
それを見込まれ私は売られた。
いくらで売られたかなんて知らない、知りたくもない。
けど、一生仕事しなくても生涯全うできるくらいの額はもらったんじゃないかなと思ってる。
でなければ実の娘をこうも簡単に売ったりしないでしょ。
はぁ、人生ってこんなにつまんないものだったかな。
さよなら私の人生。
我が生涯に一片の悔いなしどころかめちゃくちゃ悔いあるわ、ボケ。


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