第1章 私と坊やと、雨のち雨。
「申し遅れましたっ。暁です」
ものすごい軽いノリで言ってしまった。
何も考えてなかった。
親が今にも殺しそうな勢いで私を見ている。
周りの大人も私を睨んでいた。
えぇ~、ちゃんと名乗ったじゃん。
そりゃあ軽かったけどさぁ、重けりゃいいってもんでもないでしょうよ。
ていうか、私まだ14歳。
たくさんの大人に囲まれて、睨まれて、お作法がどうのこうの言われてもわからない。
だって14歳の子供だもん。
社会の常識?
知るかそんなの。
ついこの間、数学の証明問題で躓いたわ。
数学の証明問題すら解けない餓鬼が、社会や己の証明なんぞできるかってんだ。
堕ちるならとことん堕ちてやる。
どうせ、呪術界も御三家も糞みたいな人間しかいないんだ。
同じ地獄でも更に地獄を味わったほうがお買い得ってもんでしょ。
なにやら大人たちがぎゃあぎゃあ騒いでいる。
教育がうんたら躾がうんたらとうるさい。
お前らに教育がどうのこうの言われたくないな。
言われても困るし。
それに、あんたらみたいな大人が教育的に一番ヤバいことしてるってのは一般常識なんですよ。
ただの偏見だけど。