第1章 私と坊やと、雨のち雨。
そんなことを思っていると襖が開けられた。
部屋の奥には綺麗な白い髪の毛と宝石のような瞳をした小さな子供がお行儀よく正座をしていた。
周りには大人、大人、大人、大人。
いや、こんだけ大人いるなら私まじでいらんじゃろがい。
と口に出そうになって飲み込んだ。
あぁ、ゲロ吐きそう。
こういう重っ苦しい雰囲気苦手なんだよね。
ストレスで胃に穴が開いちゃうよ、いいの。
なんてね、尋ねても誰も答えてはくれないだろうな。
「悟様。此方が貴方様へ捧げる我が家の愚女でございます」
愚女って……。
ねぇ、知ってた。
愚息とか愚女の意味。
使い方は間違っていないとして、意味もちゃんと知っておかないとね。
愚かな○○とか、馬鹿な○○とかっていう意味じゃないんだよ。
愚かな自分の○○、馬鹿な自分の○○っていう意なんだって。
どう違うかって?
どう見ても違うっしょ。
謙遜と謙虚が入ってるでしょ。
愚息、愚女、愚妻、って決して貶めているわけじゃない。
だから嫌な気はしないけれど。
私の両親はきっと、「そういう意味」だとは知らずに使っている。
本当馬鹿。
勉強しなおしてこいって話。
「こいつら誰?なにしてんの?」
正座をした状態で頭を下げる両親と私。
つまり土下座みたいな姿勢の3人に、五条悟坊やは第一声そう言った。
うわ~~~。
クソ生意気なクソガキだぁ。
口に出そうになったのを飲み込んだ。