第2章 私と坊やと、雨のち曇り。
暇な時間があれば坊やと遊ぶ毎日。
坊やは私の身体によじ登り、でかい声で「遊ぼ!!」と毎度大声で言う。
まだ耳は遠くないと自負していたんだけどなぁ。
鼓膜破れるぞ、これ。
遊ぶ、と言っても五条家にはテレビゲームは置いていない。
だから必然的に家の中で遊んだり外で遊んだりしている。
もっぱら外で遊ぶことが多いが。
鬼ごっこやだるまさんがころんだとかそう言うので遊んでいる。
かくれんぼだけはどうしても好きになれないようで、たぶんだけどいなくなってしまうって思っているからじゃないかな。
正直、二人で遊んでも楽しくはない。
だけど坊やはいつも声をあげて笑っていて、まぁ彼が楽しいならいいかと思っている自分がいる。
6月のじめっとした季節がそろそろ終わろうとし、気温が徐々に上がり始める頃。
私は、縁側に座ってうちわを仰ぎながら時折鳴る風鈴の音に耳を傾ける。
流れる汗が首筋を濡らして気持ち悪いけど、夏の暑さは嫌いじゃない。
坊やはと言うと今は別の部屋でお勉強中。
なんの勉強しているか知らないけど、ご作法とか呪術界のうんたらかんたらとかそう言ったもんじゃないかなって勝手に思ってる。
坊やの側近とはいえ、四六時中一緒に居るわけではない。
私の役割は依然と変わらず坊やの壁役。
危険がない限り私の出番はないわけで、とどのつまり、五条家にいる時は私の出番はないに等しい。
だから坊やがお勉強中や稽古中は私は私の時間を過ごすことができる。
とはいえ、急に姿を消すとマンドラゴラみたいな泣き声が家中に響くから、どこにも行くことが出来ない。