第2章 私と坊やと、雨のち曇り。
目が覚めると既に空は真っ赤だった。
え、待って。
めっちゃ寝たじゃん。
寝すぎたせいで身体がだるい。
大きな欠伸と大きな伸びをして、隣でまだ寝ている坊やに目を向ける。
すやすやと眠っているところをみるとまだ起きそうにない。
「坊や。起きて、坊や」
「ん……」
坊やの身体を軽く揺すると眠たそうに瞳を開ける。
空色の宝石のような瞳をこすり坊やはぐずりそうな声を出す。
まだ寝ていたいか。
でもこれ以上寝ると夜寝れなくなってしまう。
「坊や、起きないと。夕ご飯も食べなきゃ出しお風呂も入らなきゃ」
「ん~……」
私の服をぎゅっと握ってそのまままたうとうとと瞳を閉じる坊や。
無理に起こしてギャン泣きされても困るし。
仕方ない、もうしばらく寝かせておくか。
寝息を立て始める坊やの手をそっと離して、ベッドから起き上がる。
というか久しぶりにぐっすり寝たな。
いつもなら暗殺者のごとく私を殺そうとする人間が襲ってきてもいいのに。
……ああ、この子がいるからか。
坊やが私と一緒にいるから私を殺せなかったのか。
護るべき存在に護られてどうするよ、私。
私の膝よりも低いそんな子供に護られた、という事実に胸が痛くなる。
無防備に大の字で気持ちよさそうに眠る子供は、私が護るべき対象なんだと。
心にそう言い聞かせた。