第2章 私と坊やと、雨のち曇り。
「帰っていいよ」
運ばせるだけ運ばせて女中を追い出す坊や。
その年で傍若無人と来たか。
これはちゃんと教育せねば将来この子、碌な大人にならねえな。
荷物整理を終え、私と坊やは布団の上で寝転がっていた。
昼食の後って眠くなってくる。
この時間はだいたい坊やは勉強の時間で別の部屋にいるし、私は見張りとして部屋の外で待機しているか、五条家の周りをパトロールしている。
今日は一日オフにしてもらったから、昼寝でもしようかなと思っていたが、ふと頭に一つの疑問が浮かんだ。
「坊やは、いつもなにしてんの?」
「いつも?家の作法とか勉強とか、呪術のこととかそういうの教えてもらってる」
「ん~っと、そうじゃなくて。それ以外の時っていうの?今みたいに何もしない時間あるでしょ。そういう時何してんのかなって」
「散歩?とか、部屋で遊んだりとか」
「何して遊んでの?」
「けん玉とか?でも俺あれ、簡単にできるからつまんない」
むぅ、と唇を尖らせる坊や。
聞いてて、なんか胸が締め付ける想いだ。
「鬼ごっことかかくれんぼとかは?」
「なにそれ」
まじか~~~~~~。
したことないのか~~~~~~。
そっか、友達いないもんなぁ、坊や。
そうだよねぇ。
毎日毎日お作法と勉強ばっかりだし、外に出れば懸賞金かけられているから命だって狙われてそれどころじゃないだろうし。
何だろう、不憫に思えてきた。