第2章 私と坊やと、雨のち曇り。
「ねえねえ、坊や」
「なに?」
「これは一体なんですか?」
「ベッドだけど?見てわかんないのか?」
「私が知ってるベッドの大きさじゃない」
部屋の中に入って、一番初めに目に入ったもの。
それはベッドだった。
部屋もデカけりゃベッドもでデカいんかい、と脳内でツッコミを入れる。
私の目に映るベッドは、スーパーワイドキングというやつだった。
何人で寝るつもりだよ。
寝返り打っても落ちないよ!じゃないんだよ。
「俺とね、一緒に寝るから一番大きいの買ってもらった」
やっぱりお前か。
女中たちの怒り狂った顔が目に浮かぶ。
殺されても文句言えないな。
ていうか、一緒に寝るってなに。
あなた自分の部屋があるでしょうが。
ここ私の部屋なんじゃないの。
寝る時だけ一緒なシステムなの。
初めて聞いたよ、そんな事。
はぁ、とため息を吐いて抱っこしていた坊やを下に降ろす。
テトテトと一目散にベッドに走る坊やは今にも転びそうだ。
白いシーツにダイブする坊やはきゃっきゃっと笑っていて楽しそう。