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【呪術廻戦】私と坊やと、晴れのち○○

第1章 私と坊やと、雨のち雨。






「坊や、頭流すから目つぶって」
「ん」

桶にお湯を張ってゆっくりとシャンプーを洗い流す。
この間、はしゃぎすぎた坊やが途中で目を開けてしまい、シャンプーが直に瞳を攻撃した時はすさまじかった。
坊やのギャン泣きする声が風呂場に響き渡って、耳が死んだかと思った。
マンドラゴラ並みの殺傷能力がある、子供の泣く声は。
それ以来坊やは頭を流す時、目をぎゅっと瞑って尚且つ小さな手で目を覆っている。

ざばーっと何度か流せば泡は消え去る。
身体を優しく洗って湯船に入れる。
私もまた適当に頭と身体を洗った。

「、早く俺の側近になって」
「……当主様に相談してOKもらったらね」
「じゃあ俺がしゃべってくる」
「がんばってー」

どうせ無理だって。
私この家に来てまだそんな経ってませんよ。
研修期間終わってませんって。

なんて思っていた昨日の私にさよならバイバイ。
次の日には私は見事に側近になっていました。
朝起きてビックリ。
部屋の襖がスパーンって勢いよく開いたか。
あれ、デジャブ?
私のぼんやりとした思考とは裏腹に、滅茶苦茶いい笑顔をした坊やが開口一番にクソデカボイスで叫んだ。

「!!俺の側近!!」

って言ったものですから、最初こそ意味がわからなかった。
だけど、徐々に脳ミソが理解しはじめた。
ああ、こいつやったなと。

「……どういう手を使ったんです?」
「??普通に相談しただけだけど?を側近にしないと死んでやるって」
「坊や知ってたかな。それ相談違う。脅迫って言うの」

あったま痛いなぁ。
ずきずきとする頭を抑える。
あ~、これでまた私はたくさんのいろんな人から恨まれるんだろうな。
この子のせいで。
それを知らない目の前の坊やは、私が側近になったのが心底嬉しいのだろう。
私の胸に飛び込んではきゃっきゃっと笑っている。
いいなぁ、何も知らない子供と言うのは。
私もそんな風に笑いたいよ。

小さく笑みをこぼし、静かに涙を流しながら私は坊やを抱きしめて頭を撫でた。



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