第1章 私と坊やと、雨のち雨。
五条家へと戻れたのは23時を過ぎた頃だった。
お風呂に入る体力はもはやない。
明日の朝に入ろう。
できるなら、できるだけ、早く、寝たい。
坊やを部屋へ運んだあと、私も自分の部屋へと戻った。
布団がないから座布団を10枚拝借してそれを布団代わりにして、横になる。
国民的アニメのあの少年もびっくりするんじゃないかと思うくらい、疲れ切っていた身体はすぐに夢の中へと誘われた。
次の日。
廊下を走るバカでかい足音で目が覚めた。
音だけで分かる、坊やだ。
そう思った瞬間、部屋の襖がスパーンッと勢いよく開いた。
「、風呂!!」
覚醒しきっていない頭に坊やのバカでかい声は毒だ。
普通にうるせえ。
「……お風呂担当は私じゃありませんよ、坊や」
「やだ、がいい!!」
寝起きのがらがらした声に被せるように坊やの声が響く。
うるせえ……。
目を擦りながら、朝から熱烈な告白を受ける。
昨日、私も坊やも風呂に入らず寝てしまったから風呂に入るのはそうなんだけど、風呂担当は別にいるでしょう。
坊や、後ろ後ろ。
後ろ振り返ってごらんなさい。
担当様がいらっしゃいますよ。
目つきが怖いでございますよ。