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【呪術廻戦】私と坊やと、晴れのち○○

第1章 私と坊やと、雨のち雨。






ぺこりと頭を下げて私は坊やのいる部屋へと歩き出す。
その時、その腕を男に取られた。

力強すぎないか。
ああ、天与呪縛か。
呪力が0の代わりに、超人的な身体能力と極めて鋭敏な五感を手に入れたのか。

「なんですか。私そろそろ坊やの所に戻らない……と」

振り向いて男の顔を見上げた瞬間。
私は私の唇を男に奪われた。
なんで??

唇が離れるとき、ペロリと下唇を舐められた。
びくりと肩が揺れる。

「な、んで……?」
「いい事を教えてくれたお礼だ」
「もっとましなお礼の仕方があるでしょう」

ごしごしと着物で唇を拭う。
返せ、私のファーストキス。

「動じないんだな、初めてじゃねえのか?」
「初めてですけど?でも、初めてを奪われて騒ぐほど、私は子供じゃないです」
「ははは、お前いい性格してんな。気に入った。今度会った時は、もっとすごいこと教えてやるよ」
「いえ、お気持ちだけで十分です」

今度こそ、私は深くお辞儀をして部屋へと戻った。
私の帰りが遅かったことに坊やは拗ねに拗ねてもう唇は蛸状態だ。
「ごめんね、坊や」と何事もなかったかのように振る舞う私。
だけど、内心はもうどんちゃん騒ぎのパーリーナイト。
DJがノリノリで音楽を奏でている中に放り込まれた迷える子羊状態だ。
意味がわからないだろう。
簡単に言えば、すっごい混乱しているし動揺している。

よくあの時私は冷静に対処できたな。
拍手喝采、国民栄誉賞かアカデミー名誉賞を受賞できるぞ。
私の思考回路は考えることをやめたらしく、その後はぼうっと右から左へと会話を聞き流していた。



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