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人魚姫【文スト/中原中也】

第1章 出逢いと再会


「此処か?」

俺の言葉に頷く。

餓鬼に連れられて、一緒に中に入った。

を椅子に下ろしてやる。

「ちゃんと手当てしてもらうんだぞ。」

は再び携帯を取り出し、文字を打ち画面を見せてきた。


"わざわざありがとうございました。
お茶くらいしか出せませんが、ゆっくりしていって下さい!"

断ろうとした、流石にマフィアがこんな所にいる訳にもいかねぇからだ。

だが、、、、


「おお、さんきゅ。」

紅茶の善い香りが鼻の奥まで届いた。

結局断れなかった。

何故なら、、、

「チッ、、手前ら後で帽子返せよ!!」

子供A「すげぇかっけー!」

子供B「どう?似合う??」

あの後すぐに子供達に囲まれたのだ。

から教えてもらったのだが、ここは養護施設らしいのだ。

さっきの餓鬼はタケルという名前だそうで、は耳の不自由なタケルを担当しているそうだ。

は俺と同い年で、大学のインターンで此処で働いているらしいのだ。

は再び携帯の画面を見せてきた。

"すみません、、、、。
ちゃんとお返しします。"

「それなら構わねェよ。」

"優しいんですね。
えっと、、、"

「ああ、俺は中原中也だ。ちょっと借りるぜ」

彼女の携帯を借りて、名前を打ち込む。

"中原さんですね!私はです。
今日は本当にありがとうございました。"

「気にすんな、それより怪我は?」

"ただのかすり傷なので、大丈夫です!"

「それなら善かった。」

俺はずっと気になっていたことを聞いた。

「なぁ、手前はその、、、話せないのか?」

は頷いた。

「そうか。実は昔手前に似た奴に助けてもらったんだが礼を云えてなくてな。探してるんだが、なかなか見つからなくてよ。」

勝手に口が動いていた。

は目を少し大きくし、再び文字を打った。

"そうだったんですね。
いつか出逢えるといいですね。"

「ああ、そうだな。」


はにっこりとした。

その笑顔はとても可愛らしく、眩しかった。




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