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人魚姫【文スト/中原中也】

第1章 出逢いと再会


「おい、1番は彼奴らが悪りぃが、あんだけクラクション鳴らしてたんだ。手前も気をつけろよ」

俺の言葉の後に女は餓鬼に向かって手話を使ったのだ。

餓鬼は涙を流しながら、頷いてお辞儀をした。

そこで気が付いたのだ、餓鬼は耳が聞こえていないのだ。

「わ、悪い。」

女は首を振り、携帯を取り出し何かを打ち画面を見せてきた。

"助けてくれてありがとうございました。
私がこの子を見失ってしまったせいです。
ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。"

彼女の首にはストラップがかかっていた。



どうやら施設の職員のようだ。


「いや、元はといえばあの野郎が悪いんだ。気にするな。」

女は再び首を横に振った。

そこで気付いた。

「もしかして手前も聞こえないのか、、、?」

女は頷いた。

然し、1つ疑問が浮かんだ。


「だが何故俺の言葉が判るんだ?」

女は自身の唇を指差した。

「口の動きか?」

女は再び頷いた。

「凄ぇな。っておい!手前怪我してんじゃねぇか!!」

女の足から少量だが、血が流れていたのだ。

「送る、何処だ?」

女は慌てて首を振る。

「気にすんな、此奴に道案内させてくれ。」

俺の勢いに負けたのか、女は手話で餓鬼に伝えた。

餓鬼は頷き、俺の服の裾を掴んだ。

俺は女を横抱きにした。

突然のことに女は驚いたのか、俺にぎゅっとしがみついた。

すげぇ善い匂いがした。

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