第5章 探し求めていた彼女。
『ッ、、、、、』
何処まで走ったのだろう、息が苦しい。
否、息よりも心が苦しかった。
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探偵社のお使いで街に出ていた。
お使い当番の敦くんは鏡花ちゃんの初任務で行けないので代わりに私が行くことにしたのだ。
ここ最近はつけられている気配もないし、日中だから問題ないと思っていたから。
中也くんは変わらず送り迎えをしてくれている。
凄く嬉しいし、感謝しかない。
でも中也くんの話はやはり秘書の佐々木さんとのことが増えていった。
きっと中也くんは彼女が好きなんだと思った。
私なんかよりも彼女といる方が中也くんは幸せなはずだ。
そんなことを思い始めて、少し距離を離すようにした。
やっぱり辛いものではある、だって好きなのだから。
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そしてたまたま街で中也くんを見かけた。
隣には綺麗な女性、きっと彼女が佐々木さんだ。
とても美人だった。
側から見ればお似合いのカップル。
やっぱり私なんかより彼女の方が相応しい。
そして驚いたことに2人が口付けをしているところを目撃してしまったのだ。
中也くんが私に気付き、慌てて逃げてしまった。
携帯からバイブ音が何回もしたので、携帯を見ると中也くんからだった。
「"今すぐ逃げろ"」
咄嗟に路地裏に隠れた。
??「何処行った!?80億の女は」
??「立原、女性にその呼び方はないだろう。」
立原「んだよ、じゃあ爺さんはなって呼ぶんだ?」
広津「80億のレディーだ。」
立原「変わんねぇよ!!にしてもどういう事なんだよ、佐々木は女を捕まえろって云うわ、中也さんは捕まえるなと云うわ。」
中也さん、、、、?
彼の名前だった。
広津「中原殿にもなにか考えがあるのだろう。」
立原「とにかく女を捕まえて中也さんに引き渡せばいいか!ポートマフィアから逃げられた人間はいねぇしな。」
ポートマフィア、、、、?
中原中也、、、、。
中也くんはポートマフィアの人間だったのだ。
きっと彼は私が懸賞金がかかっていることを知っていて近づいたのだろう。
彼に騙されていたのだ。