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恋と深空【短編裏夢小説】

第1章 【シン】恋と狂宴【R18】


「あぁ、キスは初めてか?」
「そうじゃない、けど……」
「なら……嫌か?」
「っ……!」

 この人……絶対わざとでしょ!

 いつもとは違う優しい目つきに柔らかな空気。
 この距離でその甘い声は反則すぎる……。

「嫌……ではなさそうだな。安心しろ、悪いようにはしない」
「そういうことじゃなくて! こういうことは、その……」
「……好きな人とやるべき、ってか?」
「………」

 沈黙を肯定と受け取ったシンはこう続けた。

「だったら、お前のことが好きなら問題ないんだな?」
「だったらって……なんか違うと思うけど。それに、あなたが私のこと好きだなんてあり得ない」
「そうか? 俺は案外……お前のこと好きだけど、な」

 もやっと赤黒い霧が私の手首にまとわりつくと、頭上で張りつけにされてしまう。

「ちょっと、放してよ!」
「放しても逃げないなら、考えてやる」
「に、逃げないから」
「どうかな……逃げ足の速さだけは一流なハンターの嬢ちゃん」

 逃げる、っていう単語が嫌いだと知っててわざと煽ってきてる。私の頬を優しく指が伝っていって、耳をすりすりと撫でられる。

「ん……」
「ふんっ……反応は悪くない」

 品定めするかのような眼差しは、いつものシンと違って居心地が悪い。私の吐息、呼吸、瞬きさえも支配されている感じがする。けれど、手を固定されていてはどうすることもできず……。

「ふぅ……ん、くすぐったいってば」
「ほぉ……知ってるか?」
「何を?」
「くすぐったい所は性感帯だそうだ」
「まさか、シン。あなたそんな俗物的なこと、信じてるわけないよね?」
「お前は俺を何だと思ってるんだ。信じる信じないの前に……」

 ぐぐっとシンが距離を詰めてきて、吐息を感じる。距離が近すぎて顔を背けようとしても彼の手のひらがそれを阻止してる。考える暇もなく唇がすぐそばまで寄ってきた。

「俺は今、ただの男だ。意味……わかるよな?」
「っ………」
「沈黙は肯定と捉える」
「ん……っ!」

 数センチの距離は一瞬で埋まり、私とシンの唇が再び重なった。さっきの触れるようなキスよりちょっと激しいキス。角度を変えて何度も合わさる唇は、彼のものとは思えないほど優しい。

「はぁ……んっ、ふぅ…ンッ…んむぅ……」
「……体の力を抜け」
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