第1章 【シン】恋と狂宴【R18】
「覚えてないのか。お前が言って欲しいというからちゃんと答えたのに。あぁ、誰かさんは正気じゃなかったか」
「覚えてるよ!」
「ほぉ、ならお前の答えは?」
「それは……」
目の前にあるシンの胸元に視線をうつす。そしてまた見上げると、赤い瞳が楽し気に揺れている。
「……」
私の髪を優しく掬いながら梳いている。優しい触れ方……シンなりに大事にしてくれているのが伝わってくる。
「シン……」
私の髪を撫でる手を絡めとって、私の頬を包みながら上から握りしめる。
「好きだよ……シン、あなたが好き」
その手に軽くキスして頬擦りすると、私の後頭部をぐいっと引き寄せキスされた。
「んっ……はぁ」
甘くとろけるキスに体ごと溶けてしまいそう。シンを見ると、濡れた唇をペロっと舐めていた。
「その顔……」
「顔?」
「俺以外に見せんなよ、その顔」
「どんな顔よ」
シンは私の頬を片手で掴み、心底嬉しそうに微笑むと私の耳元でボソッと呟いた。
「……どうしようもないくらいに愛おしい顔」
Fin