マイナス、のちゼロ距離センチ【WIND BREAKER】
第2章 スーパーヒーロー、その名はボウフウリン
「え……?」
どうして柘浦さんが謝っているのだろうか。謝る必要があるのは、迷惑をかけてしまった私の方なのに。
突然の謝罪を不思議に思い、蘇枋さん達なら分かるだろうかと視線を向ける。でも、どうやら彼らにも分からないようで、首を横に振り柘浦さんを不思議そうに見つめた。
……完全にお手上げ状態だ。なら、直接本人に聞くしかない。
「あ、あの……」
「! な、なんや……?」
「どうして、私に謝ってるんですか?」
「そ、それは……」
「それは、君を怖がらせちゃったと思ったからだと思うよ」
「!」
私の疑問に答えたのは本人である柘浦さんではなく、そんな彼の後ろからひょっこりと顔を出したピンク髪の男の子――桐生さんだった。
彼は私と目が合うと、そのタレた目を柔らかく細めながら微笑み、柘浦さんの後ろから出て来る。そして、私と蘇枋さん達を交互に見てから、ひとつコクリ、と頷いた。
「トイレから帰ったら桜ちゃん達がいなくてビックリしたけど……うん。何となく状況は読めたかな」
「す、すみません……!桐生さん……!」
「桐生君もごめんね」
「わ、悪かった……」
「だいじょーぶだいじょーぶ。きっと、この子を助けてたんだよね」
桐生さんはそう言うと、私に視線を移し「君にも怪我がなくてよかったぁ」とまたふにゃりと笑った。
そんな優しい、蘇枋さんとはまた違った柔らかく包み込む様な気遣いを受けて、何だか気恥ずかしくなると同時に確信する。桐生さんにも私のことが見えていると。
これで桜さんの言った通りになった。
彼の予想が当たってすごいと思ったけど、街の人達には見えなかったのに、どうして彼らには見えているのだろうかと疑問が残る。でも、今の段階では判断材料が少なくて、答えを出すことができない。
だから私は、この疑問も一旦振り払い、やるべきことをするために、前にいる柘浦さんと桐生さんを見据え頭を下げた。
「あの、知らなかったとはいえ、2人にも迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい」
「気にしなくていいんだよ。悪いのは君を襲った悪い人達だし」
「そ、そのことなんですが、襲われたのは私ではなく違う人で……」
「およ?そうなの?」