マイナス、のちゼロ距離センチ【WIND BREAKER】
第2章 スーパーヒーロー、その名はボウフウリン
「大丈夫だよ。にれ君、詩音さん。きちんと謝って事情を話せば許してくれる。彼らはそういう人達だから」
「「!」」
確かにそうだ。
蘇枋さん達の仲間なら、彼らも心優しい人達なのだろう。なら、精一杯誠意を持って謝れば、彼の言う通りきっと許してくれる。
桜さんも口にはしないけど、蘇枋さんと同じ考えだから焦ることなく平常心でいたのだろう。
にれさんと顔を見合わせてから頷き合い、お互いに意気込む。
「そうですよね!なら、精一杯謝りましょう!」
「はい!…………あ」
「? どうしたんですか?」
「私、あの2人から見えるでしょうか……?」
「あ……」
意気込んだのはいいものの、見えなければ謝りようがない。どうしよう、と思っていると、桜さんが「……カンだけどよ」と前置きしてから私をじっ、と見つめた。
「あいつらにも、お前のことが見えると思う」
「え……」
それはどういうことなのか。
聞こうとしたけど、その前に「桜君達、どこ行ってたんや!」と後ろから響いた言葉に先を越されてしまった。
ハッ、となって振り返ると、もう到着したようでオレンジ髪の男の子が私達の前に立っていた。その表情は眉間に皺を寄せ、変わらず怒った顔をしている。でも、どことなく安堵している様に見えるのは気のせいではないだろう。
それを見て確信する。やっぱり彼らも心優しい人達なのだと。
「ごめんね、柘浦君」
「わ、悪い……」
「す、すみません……!柘浦さん……!でも、これには深い事情がありまして……!」
「事情?事情ってなんや?」
「そ、それは私が説明します……!」
事情を話すのは、この事態を招いてしまった張本人である私がすべきことだろう。
問題はオレンジ髪の男の子――柘浦さんに見えるかどうかだけど、桜さんが言っていた。勘だけど彼らにも私が見えると思うと。
どうしてそう思ったのかは分からない。でも、信頼できる彼の言葉だ。信じない、という選択肢はない。だから私は、右手を上げながら大きく一歩前に踏み出した。