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マイナス、のちゼロ距離センチ【WIND BREAKER】

第2章 スーパーヒーロー、その名はボウフウリン


「うん……っ、みんなからは、そう呼ばれているね……」
「そう呼ばれてるに決まってんだろ。それが本当の名前なんだからよ」
「えー、桜君……だって、最初はオレの言うこと……っ、真に受けてたじゃないか……」
「うるせー!オレのことはいいんだよ!…………つか蘇枋、お前笑いすぎだろ」
「ははっ……!」

……レオナルドさん、改め蘇枋さんが肩を震わせてから数十秒。ようやく落ち着いたのかハア、とひと息ついて、私に向き直った。その表情は申し訳なさそうなのに、どことなく笑みが含まれている様に見えるのは気のせいでありたい。

「……冗談、だったんですね……」
「……うん。ごめんね。少しでも、君の肩の力を抜けさせることが出来ればいいなと思って」
「そ、そうだったんですか……。なら、まあ別にいいですけど、でも笑いすぎです……」
「それも本当にごめんね。オレの冗談に、丁寧に返す君の反応がかわいくてつい」
「かっ……!?」

予想外の言葉に、一気に自分の顔が赤くなるのが分かった。

「か、かわいいって何ですか……!それこそ冗談はやめてください……!」
「冗談じゃないけど……うん。これ以上君の機嫌を損ねるのは本意じゃないから、そういうことにするよ」
「そ、そういうことにしておいてください……!」

そうじゃないと、私の心臓がもたない。
ドキドキと鳴る心臓を落ち着かせるために深呼吸し、密かに蘇枋さんを盗み見る。彼は、にれさんから注意を受けているところで、その姿を見ながら思う。

(……蘇枋さんも、冗談とか言うんだ)

今思えば、確かに思い当たるふしがあった。主に、桜さんに対する言動で。

優しいだけじゃなく、年相応の一面もある。
蘇枋さんの印象が、少し変わった瞬間だった。















スーパーヒーロー、その名はボウフウリン






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