第4章 七海健人 覚悟
「‥は?!」
『私は一回飲んでるし、免疫が出来てるかもしれない!悟に何かあったらこの世界が終わっちゃうかもしれないし‥ここは私に任せて!!』
「ちょっ‥!待って!!僕が媚薬飲んだだけで世界終わんないから!」
悟の静止を振り切って
沢山あるうちの一つを手に握ってすぐさま口の中に流し込む
『ッ‥』
とろりと流れ込む液体
どくんと心臓が跳ね上がる
その瞬間にだんだんと発熱したかのように全身が熱くなって
怠く
重くなっていく
口内に広がる懐かしく甘い香りに頭の中がくらりとして
お腹の奥がどうしようもなく疼き出す
自ら吐き出される熱い吐息にさらに体温があがって
へたりとその場に座り込む
「ッ‥あっま‥‥」
『悟っ?!』
慌てて顔を上げるとお酒に酔った時と同じくらい顔を赤くした悟が小瓶の中の薬を次々に飲み干していった
『だめって言ったのに‥!!』
ふらりと体制を崩して倒れそうになる私よりも身体の大きい悟をなんとか受け止めるけど支えきれず
床に倒れ込む
「はい、さいご‥」
『んぅっ‥っ!?』
気付けば
上に覆い被さった悟の唇が重なって
口内に甘い液体が流し込まれる
お互いに体温の上がった身体
液体を喉の奥まで流し込むように舌が入り込んできて
さらに体温を上げていく
「あー‥気持ち良すぎんだろ‥‥っ」
『んんっ‥!ま‥まって‥‥さとる‥‥っ』
両手首を掴まれて
口付けが何度も何度も交わされる
『もう‥でれるはずだから‥っ‥‥』
「‥」
『悟っ‥だめ‥っ』
擦り付けられる身体
お腹の辺りに触れる固い熱にびくりと身体が反応する
ずらされた目隠しから見える碧眼が虚に細められる
熱に浮かされたような瞳は
あの日の七海くんと重なって
胸の奥が痛む
横目に見える机の上には空っぽになった小瓶
前は全部飲み干したらすぐに扉が開いたのに
『どうしてっ‥‥扉が開かないの‥っ?』
思考が乱れる程の疼きに私達は2人共
最後の一本が床の隅に転がっていった事に全く気付かなかった